E-than's Blog

Amazonプライム会員となって鑑賞した映画、読んだ本の感想や批評を書き綴ります。

映画「7つの贈り物」とかけて、「さだまさし」と解く

ウィル・スミス主演の「7つの贈り物」をみて、少なからず感動し、あろうことが流涙してしまった。

7つの贈り物 (字幕版)

男の名はベン・トーマス。ベンは7人の他人の名前が載ったリストを持っている。ベンは彼らに近づき、彼らの人生を調べ始める。そして、ある条件に一致すれば、彼らの人生を永遠に変える贈り物を渡そうとする。ベン・トーマスは何者なのか?海辺に素敵な家がありながらもモーテルに泊まり、外出時はいつも同じスーツを着ている。妻も恋人もなく、たった一人の弟からは逃げようとしている。彼の目的は何なのか?そして、彼らの人生を変える贈り物の中身とは−?(Amazon Prime Videoの紹介文より)

 

原題はSeven Pounds。なぜPoundsなのか、映画をみたあとでも理解できなかった。シェイクスピアと関係があるらしく、日本人には難しい。

 

以下ネタバレあり、映画を鑑賞後に読まれることをお勧めします。

 

原題の7Poundsは通貨単位ではなく、重さの単位のようである。シェイクスピア作品の「ヴェニスの商人」に、”借金を返すことが出来なければ、自分の肉1ポンドを与える”というシーンがあり、このポンドにこの映画の原題は由来するらしい。借金のかたに自分の肉を与えなければならないのか、がこの映画のモチーフである。

 

ウィル・スミス演じるベン・トーマスは、借金をしたわけではない。借金はお金を稼げば返すことはできる。ベンの希望は、借金返済ではない、贖罪である。現代では、犯罪は法律で裁かれ、刑が執行される。逆にいうと、受刑することで罪をつぐなうことができるともいえる。でも、犯罪が人の生死にかかわる場合、受刑すれば贖罪できるのかは疑問だ。それは、被害者や被害者の家族(遺族)の気持ちを考えれば理解できるだろう。

 

ベンは、自分の過失で人を死なせてしまい、受刑するだけでは贖罪できないと考えたのだ。自殺も考えたが、自殺でも贖罪できないと思い悩むようになる。

 

さだまさしの名曲に「つぐない」がある。この曲は、実際の裁判の判決時に裁判長が引用したことで、有名となった。その裁判長は、遺族に対し口だけ謝罪し、受刑すればいいんでしょと考える被告人に対して、「つぐない」の歌詞だけでもよいから読むように諭した。贖罪は受刑だけでは達成されない。

 

この映画の「7」という数字。"7 pounds" ”7 days” "7 seconds" "7 killed" 

ベンにとっての7は 

肺、肝臓、骨髄、腎臓、自宅、角膜、心臓

となった。

 

ラストシーンでエミリーは、元盲目のピアニストのエズラが出演する親子コンサートを見に行く。

コンサート終了後のエズラにエミリーは声をかける

"Ezra!"

"Hi!  Are you a parent?"

"No."

"Have we met before?"

"NO."

エミリーが(エズラの目にベンをみて)泣き始める。

”You must be Emily.”

”Yes.”

"So nice to meet you."

エミリーはベンに会いに行ったのだ。

 

この映画には多数の伏線が散りばめられている。最後まで観て初めて、すべての伏線がつながり、腑に落ちるようにできているのだ。