E-than's Blog

Amazonプライム会員となって鑑賞した映画、読んだ本の感想や批評を書き綴ります。

映画「プロミスト・ランド」から考える、なんのために働くのか

映画.comの解説より抜粋。「・・・不況にあえぐ農場主からシェールガスの掘削権を安値で手に入れるエネルギー会社のエリート社員が、ある田舎町で遭遇した出来事を通じて、人生の決断を迫られる姿を描いた。・・・田舎町のマッキンリーには良質なシェールガスが埋まっており、相場よりも安値でその掘削権を手に入れるため・・・町を掌握するための賄賂も仕込み、・・・しかし、予期せぬ障害が立ちはだかったことをきっかけに、スティーヴは自身の仕事への信念や情熱が揺るがされていく。」

プロミスト・ランド(字幕版)

プロミスト・ランド」の主人公のスティーヴ(マット・デイモン)は、エネルギー会社の幹部候補社員である。スティーヴは田舎町の出身で、子供のころ、出身地にあった工場が倒産し、町が疲弊し貧しくなっていく姿をみている。その子供時代の経験が今の仕事に少なからず影響しているのだ。

今回担当するマッキンリーという町は酪農が主な産業であり、貧しく、子供を大学に行かせるのも難しい。スティーブが育った町と非常に似通っているのだ。自分は幸運にも大学に行け、高収入の仕事についているが、マッキンリーの子供達にも大学に行って欲しい。

自分の仕事をすれば、シェールガスがマッキンリーを裕福にする。そんな思いがあったはずだ。土地の権利者に誠実に対応することで会社には安値で掘削権を渡す。そして、自分は出世する。そんなWin-Win-Winの状況を思い描いていたのだろう。

 

しかし、シェールガスにより環境が破壊される可能性を取りざたされ、三方良しのバランスが崩れる。会社の強引な指示に従いきれないスティーブは、地元に寄り添いつつ、掘削権の買収を続ける。

会社のため、出世のため、自分の信念のため、働く理由は人それぞれである。スティーブが最後に選択した道はどれでもない意外なものであった。

 

脚本はマット・デイモンジョン・クラシンスキーの二人が担当し、それぞれ主演と助演である。二人の書いた脚本はよく練られていた。

ちなみに、ジョン・クラシンスキーは、米Amazon制作のドラマシリーズ「トム・クランシー CIA分析官 ジャック・ライアン」シリーズでは主演と製作総指揮をしている。また、妻のエミリー・ブラントが主演した「クワイエット・プレイス」では、監督・製作総指揮・脚本をしている。ジョン・クラシンスキーは俳優だけでなく、監督や脚本、制作で才能豊かな人物であり、要チェックである。

 

映画「リンカーン弁護士」をみて、働きがいを考える

リンカーン弁護士をみた。「ダラス・バイヤーズクラブ」でアカデミー賞主演男優賞を受賞したマシュー・マコノヒーが主演する法廷ドラマである。

リンカーン弁護士 (字幕版)

シネマトゥデイのあらすじより
「ロサンゼルス中を高級車リンカーンで奔走するやり手弁護士ミック(マシュー・マコノヒー)の顧客は、主に麻薬の売人や娼婦(しょうふ)たちだ。ある日、彼の元に殺人未遂容疑で訴えられた資産家の息子ルイス(ライアン・フィリップ)の事件の依頼が舞い込んでくる。ミックは彼の十八番の司法取引で事を丸く収めようとするが、ルイスは無実を訴える。」

 

マシュー・マコノヒーが演じるミックは、運転手つきのリンカーンの後部座席を事務所のように使い、実際の事務所にはおそらく秘書しかいない。あとは法廷で仕事か、歩きながら仕事をするような忙しい弁護士だ。
優秀、敏腕弁護士のようだが、悪事も働く。詐欺まがいの行動で金をもらったり、賄賂を渡したり、顧客が娼婦や暴走族だったり、少なくとも清廉な弁護士ではない。日中からウイスキーを飲み、離婚歴もある。でも、育児には協力的、元妻とは仕事仲間で飲み仲間、お抱え運転手に対しても優しく、過去のミスに気づいて正そうとする。
 
ミック・ハラーは、このようにいろんな顔をもつ弁護士だ。依頼人となる容疑者と弁護人は、信頼関係でつながっているべきであるが、米国では金銭でつながっている(少なくとも映画の世界では)。高額な報酬を支払えば、優秀な弁護人を雇えて、刑が軽くできる。アメリカ映画ではよく見るパターンだ。
 
ミックと依頼人ルイスとの関係も当初はこのパターンに乗り、ミックも楽勝ムードであった。でも、ルイスの身辺調査を進めるうちに、ミックは危機的状況に陥る。ミックの仕事は刺激的で、楽しそうだ。お金も稼げる。
毎日ルーチンワークでは退屈なので、刺激が欲しい。でも、そのためには残業や休暇という概念を捨てる必要がある。仕事上、身の危険を感じることがあるかもしれない。
 
僕にはルーチンワークと、一日一つの刺激さえあれば、十分だ。